民事執行法 2001年度
概 要(テーマ)
裁判所に認められた権利を現実化する手続が民事執行手続なのである。民法や商法上の権利が裁判所によって認めらても,それが必ず即時に現実化するとは限らない。非常に緊迫した事態においては,当然の権利を実現するにも「こつ」とか工夫が必要なことが多い。このことは,民法や商法を学習している際には見落としがちである。しかし,このことを理解しなければ,民法や商法の知識は絵に描いた餅に過ぎない。平成8年に重要な点について民事執行法の改正があったばかりであるのに,平成10年にも「競売手続きの円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により,再び民事執行法が改正されている。重要な最高裁判例もつづけて出されている。このように現在非常に活発に変動しつつある法状況は最新の状況を教科書などの本により知ることは難しい。ぜひとも講義を活用してほしい。
民事保全法の規律しているのは,裁判所で権利の存否について決着がつけられるまでの間の暫定的な権利保護手続である。暫定的といっても,救済が手遅れとなっては権利保護が実現できないので重要性は大きい(民事訴訟法・民事執行法・破産法のどれよりも使用される頻度は高い)。
方 針
民事執行法・民事保全法については,基礎的な制度の仕組みとその実態を説明することを中心とする。この分野に顕著にみられるドイツ法直輸入の観念的な議論は学生にとってあまり有益なものとはいえない。むしろ,判例・実務がドイツ法的な観念的な法理論を現実とどのようにすりあわけてきたかについて紹介する方が有益である。そこで,可能な限り現実にはどのように手続が進行していくかについて力点を置いて講義をする。
内容(スケジュール)
《前期》
4月18日 第1回 ガイダンス
4月25日 第2回 民事執行手続・民事保全手続の全体構造(教科書2頁以下)
5月10日 第3回 執行手段の配分(教科書15頁以下)
5月17日 第4回 執行機関(教科書23頁以下)
5月24日 第5回 債務名義(教科書48頁以下)
5月31日 第6回 執行文(教科書77頁以下)
6月7日 第7回 執行文付与をめぐる異議および訴え(教科書82頁以下)
6月14日 第8回 請求異議の訴え(教科書89頁以下)
6月21日 第9回 責任財産・第三者異議の訴え・強制執行の開始(教科書100頁以下)
6月28日 第10回 違法執行に対する救済方法(教科書33頁以下)
7月5日 第11回 強制執行の停止・取消(教科書112頁以下)
7月12日 第12回 予備
《後期》
9月27日 第1回 不動産強制競売・不動産競売(教科書126頁以下)
10月4日 第2回 不動産売却手続総論(教科書148頁以下)
10月11日 第4回 不動産売却手続の準備(教科書144頁以下)
10月18日 第5回 違法占有者の排除(参考文献は講義で指摘)
10月25日 第6回 民事執行法上の保全処分(参考文献は講義で指摘)
11月8日 第7回 売却条件(教科書138頁以下)
11月15日 第8回 売却手続(教科書148頁以下)
11月22日 第9回 引渡命令(教科書155頁以下)
11月29日 第10回 配当手続(教科書164頁以下 )
12月6日 第11回 動産執行の概要・債権執行の概要(教科書の該当部分全部)
12月13日 第12回 抵当権の物上代位による賃料の差し押さえ(参考文献は講義で指摘)
12月20日 第13回 民事保全法概論(教科書の該当部分全部)
1月10日 第14回 予備
テキスト
山木戸克己『民事執行・民事保全法講義[補訂版]』有斐閣
参 考 書
竹下守夫・伊藤眞編『民事執行法判例百選』有斐閣
林屋礼二編『民事執行法【改訂第二版】』青林書院
中野貞一郎編『民事執行法・保全法概説』有斐閣
評価方法・基準
評価は学年末試験による。評価基準は絶対評価と相対評価との組み合わせである。絶対評価基準は以下の3点である。@問題に対して適切な条文の指摘がなされているか。A条文の書き写しよりましな内容が論理的破たんなく記述されているか。B記述が問題に対する解答として適切であるか。この絶対評価基準に基づいて採点すると8割の学生は不合格になるので,相対評価を併用して不合格者数を抑えるようにする。
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