科目名

民事執行法

月曜時1時限

教員名

萩澤達彦

1.概 要   裁判所に認められた権利を現実化する手続が民事執行手続・民事保全手続なのである。民法や商法上の権利が裁判所によって認められても,それが必ず即時に現実化するとは限らない。非常に緊迫した事態においては,当然の権利を実現するにも「こつ」とか工夫が必要なことが多い。このことは,民法や商法を学習している際には見落としがちである。しかし,このことを理解しなければ,民法や商法の知識は絵に描いた餅に過ぎない。

権利を実現するためにはそのシステムが経済社会の実態と乖離していては無理である。したがって,現代のように経済のシステムが激しく変動している時代には,法システムも変動せざるを得ない。そのため,平成8年に重要な点について民事執行法の改正があったばかりであるのに,平成10年にも「競売手続きの円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により,再び民事執行法が改正されている。重要な最高裁判例もつづけて出されている。そして,2003年度にもまた改正が実現する予定である。このように現在非常に活発に変動しつつある最新の法状況は(改定が間に合わないので)教科書などの本により知ることは難しい。ぜひともこの講義を活用して最新の状況をつかんでおいて欲しい。

2.方 針   民事執行法・民事保全法については,基礎的な制度の仕組みとその実態を説明することを中心とする。教科書などにかなりの分量で紹介されているドイツ法直輸入の観念的な議論は,もはや賞味期限を終えた議論であるといってもよく,学生にとってあまり有益なものとはいえない。むしろ,判例・実務がドイツ法的な観念的な法理論を基になされた立法を日本の現代社会の現実とどのようにすりあわけてきたかについて紹介する方が有益である。そこで,可能な限り現実にはどのように手続が進行していくかについて力点を置いて講義をする。

 

3.スケジュール

1.ガイダンス

13.不動産売却手続総論(教科書148頁以下)

2.民事執行手続・民事保全手続の全体構造(教科書2頁以下)

14.不動産売却手続の準備(教科書144頁以下)

3.執行手段の配分(教科書15頁以下)

15.違法占有者の排除(参考文献は講義で指摘)

4.執行機関(教科書23頁以下)

16.民事執行法上の保全処分(参考文献は講義で指摘)

5.債務名義(教科書48頁以下)

17.売却条件(教科書138頁以下)

6.執行文(教科書77頁以下)

18.売却手続(教科書148頁以下)

7.執行文付与をめぐる異議および訴え(教科書82頁以下)

19.引渡命令(教科書155頁以下)

8.請求異議の訴え(教科書89頁以下)

20.配当手続(教科書164頁以下

9.責任財産・第三者異議の訴え・強制執行の開始(教科書100頁以下)

21.動産執行の概要・債権執行の概要(教科書の該当部分全部)

10.違法執行に対する救済方法(教科書33頁以下)

22.抵当権の物上代位による賃料の差押(参考文献は講義で指摘)

11.強制執行の停止・取消(教科書112頁以下)

23.民事保全法概論(教科書の該当部分全部)

12.不動産強制競売・不動産競売(教科書126頁以下)

24.執行制度の将来

4.テキスト・参考書          

著 者 名

書 名

出 版 社

定 価

山木戸克己

民事執行・民事保全法講義[補訂版]

有斐閣

 \2300+

竹下守夫・伊藤眞編

民事執行法判例百選

有斐閣

 \2300

林屋礼二編

民事執行法【改訂第二版】

青林書院

 \4100+

中野貞一郎編

民事執行・保全法概説【第2版】

有斐閣

\2000+

 

5.評価基準・方法  評価は学年末試験による。評価基準は絶対評価と相対評価との組み合わせである。絶対評価基準は以下の3点である。@問題に対して適切な条文の指摘がなされているか。A条文の書き写しよりましな内容が論理的破たんなく記述されているか。B記述が問題に対する解答として適切であるか。ただし,この絶対評価基準に基づいて採点すると8割の学生は不合格になるので,相対評価を併用して不合格者数を抑えるようにする。